「加島が帰ってこなくて寂しいんでしょ」

「………」


美伽はすぐに私の心を見透かしてしまう。


「加島なりに気を遣ってるんじゃない。辰巳さんとヨリを戻すことになれば今までどおり自分が家に出入りするわけにはいかないって思うのは普通のことだよ」

「まだヨリを戻すなんて決まってないよ」

「でも、今日も辰巳さんと会う約束してるじゃん」


辰巳さんからは毎日連絡が来るし、忙しいのに時間を作ってたくさん会おうと誘ってくれる。

それを断れない私は中途半端。

加島への気持ちもまた中途半端で、嫌になる。


机にうなだれるようにして落ち込む私を見て、美伽が励ますように頭に手を置いてくれた。



「ちゃんと話し合ったほうがいいんじゃないの?」

「どっちと?」 

「伊織はどっちと話したい?」

「……私は」


真っ先に頭に浮かんだのは、加島のほうだった。