【短】祭の夜に会いたくて



「ハル」

「ん?」

「わたし、幸せすぎて泣きそう」

「もう泣いてんじゃん。泣き虫」

「うるさい」



 お互い見つめ合って、こんな間近で見るのも初めてだから恥ずかしくて笑っちゃう。


 でも次の瞬間には触れるくらいのキスをして、また花火を見る。



「来年も来よう」

「次は、下で待ってる。ベランダじゃなくて」



 やっぱり、わたしは夏が来るのを楽しみにしている。だって、今日という日はわたし達にとって特別な日。


 手を繋いで、告白して、恋人になって、キスをした日なんだから。



「ねえ」

「ん?」

「もう一回、キスして」

「欲しがり」

「だって、さっき。びっくりして、あんまり……」

「ずっと降りてくるの待ってた。もう、離さないからな」