【短】祭の夜に会いたくて



 ハルはとても優しい。
 ハルは、わたしのことを知ろうとしてくれている。


 わたしもハルを知りたい。


 ベランダから見るハルじゃない。
 もっと近くで、二人で、同じ雰囲気の中で、手を繋いで知っていきたい。


 ハルが好き。大好きだから、もっとそばで……。



「何で泣いてんの? 俺のせい? ごめん! 本当に配慮も何もなくて!!」

「違う。嬉しくて……」



 泣くほどに、今日という日を夢見てた。


 ただきっかけがなくてベランダから抜け出せないでいた。わたしはすごく臆病だから。


 ハルに嫌われたくなくて。


 でもハルは、わたしを強引に連れ出してくれた。惚れないわけがなかった。