自分までもが悪に染まったらもとも子もないのに、感情は留まることを知らない。


「立花彩夏が総長の彼女になってからは、女関係の噂がパタリと止んだんだって」


理沙は知らないだろうけど、その発言は火に油を注いだように私の感情を激化させた。


「……さっきの案、乗った」


取り返しのつかないことを言ったんだろうな、と心の端で客観的に感じていた。


ただそれだけで、罪悪感なんてこれっぽっちもなくて。


心もちっとも傷まなかった。


「やったぁ!まさか美夜が乗るなんてねぇ」


「私のせいにしてきたのは立花さんだからね」


ただ、ひたすらに黒い感情が渦巻いて私を離さなかった。


立花さんは私の知らないコウちゃんを好きになって、それで満足してたんだ。


立花さんは今のコウちゃんを好きになった。


あんなのコウちゃんじゃないのに…っ。


コウちゃんの魅力の半分もないのに…っ。