─ダンッ


鈍い音と全身に走る鋭い痛み。


何が起こったのか理解するのが難しかった。


「コウちゃ…ん…」


コウちゃんに胸ぐらを掴まれ、壁に押しつけられていた。


女を相手にしてる力じゃない……。


「離してよ…っ」


抵抗したって無駄だった。


一ミリの光も宿っていないコウちゃんの漆黒の瞳に凄まれて、身動き取れなくなってしまった。


「帰れ」


だけど…引けない。


今さら、引かない。


「…私は……帰らない…。帰らないから」


コウちゃんの瞳を見つめる。


コウちゃんも私を睨み付ける。


「…離して。女子に暴力なんて最低だよ」