あの日のキミが好き~True Love~

外から人が入ってくるまでのたった数秒が、ありえないほど長く感じた。


まるでスローモーションのよう。


金縛りにあったかのように動けなかった。


緊張で、抱えていた鞄が床にずり落ちたのに、拾うことすらできなかった。


チェーンがたくさんついたズボン。


第2ボタンまで全開にしてるシャツ。


そして、金髪。


彼の視線は私へと移動する。


すべてがスローモーションの中で寄せられた視線は、私の心まで冷えきりそうなくらい冷たかった。


切れ長の目でスッと睨まれる。


そして、まるで私なんか視界に入らなかったかのように視線を反らし、目の前を横切る。


彼がソファに座った瞬間、スローモーションも金縛りも解けた。


「コウ─」


「誰この女」