すべてが鮮明に蘇った瞬間だった。


初恋、花火、浴衣、海、居場所。


気がつけば涙が頬を伝っていた。


コウちゃんが近くにいる。


それは嬉しくもあったけど、残酷でもあった。


コウちゃんは極悪非道な人間に成り下がっていたんだ。


あんなに優しくて思いやりのあったコウちゃんが…。


その日以来、私は地道な努力を続け、どうにかこうにか輝嵐に近づこうとして今日に至る。


高2の夏。


立花さんに姫を辞めてもらい、チャンスがグッと迫ってきた気がしていた。