結束が強かった幹部がほんの数秒でガラガラ音をたてて崩れていく。


だけどこれでいい。


これが俺が望んだことだ。


「凛空はもう抜けてるから事実上解散だ」


俺がそう言えば景は涼しい顔してうなずいた。


「輝嵐にこだわってたわけじゃねぇから好きにすれば?」


そして、俺らの顔を見ることなく部屋を出ていった。


「…聖輝、ホントは彩夏のことまだ好きだったんだな」


過去形じゃない。


俺は今も彩夏が好きだ。


だから美夜と会わないことを決めたし、その方が美夜に嫌な思いをさせないで済む。


「たぶん俺、一生彩夏が好きだと思う」


この先、彩夏以上の女に出逢える気がしなくて。


俺と彩夏はどこか似ていた。


似ていたからこそ、あの日彩夏の自殺を止めた。


「そ。カッコつけやがって」


「カッコよくなんかねぇよ…」


いろんな人間を傷つけてきた。


彩夏のことさえも。


だから、もう二度と誰も傷つけないし、愛さない。


心の中で生き続ける彩夏のことだけを愛する…。


そう誓い、俺も最後の倉庫を後にした。


もう、二度と戻ってこないと胸に誓い。