「マナの姿が見えなくなってから、俺、急いで家に戻った」


さっきよりもハッキリした口調は、私には無理に装ってるような姿に見えた。


「親が帰ってきたのが朝の4時ぐらいだった。帰ってきた親に、包み隠さず話した」


誠実で嘘なんかつかなかった昔のコウちゃんを思い出した。


「…両親共に発狂する勢いだった。そりゃそーだろうけど。大事な一人娘なんだから」


一人娘…か。


些細な言葉だけど、そこに寂しさが宿ってる気がしてならない。


「〝アンタが溺れて死ねばよかった〟〝今すぐ死んで償え〟〝お前さえいなければ〟〝アンタなんか引き取るんじゃなかった〟」


……っ。


自分が言われたわけじゃなくても、一言一言が胸に深く突き刺さって抜けない。