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「暑…っ」
村の夏より気温は低いはずなのに暑く感じる東京の夏。
晩ごはんの食材を買いに外へ出たときのことだった。
日の光を浴び、キラキラと輝く明るい金髪が視界に入ったのは。
「コウちゃん…」
横断歩道を挟んで向かい合うようにして立つ私たち。
赤信号なのがもどかしくて。
だけど青になってほしくなくて。
長い横断歩道を恨む心があって。
だけど長くてよかったと思う心があって。
コウちゃんは私に気づいてない。
声をかけていいのか、いけないのか。
きっとコウちゃんは私をウザいと思ってる。
話しかける勇気なんて私…。



