結局、村で真実を聞くことはできず、東京に戻ってきてしまった。


夏休みも残すところ1週間。


腕と太もも、ともに包帯は外せたけど傷が深いから痕がくっきり残ってる。


「晴流ー」


久しぶりに喫茶店を訪れ、いつもの席に座る。


「なんか前より元気になった?」


お皿洗いをしてる晴流にそう言われた。


「村に帰ってたんだけど、そこで元気付けられちゃった。だからまだ諦めずに頑張ろうって思って」


具体的に何かできることなんてもうないかもしれないけど、願い続けることくらいはできる。


私のこの想いがいつかコウちゃんへ届いてほしい。


ひそかにそう思ってることくらい許されるよね…?