優菜は言葉を失ってるようだった。


そりゃそうだよね。


いきなりこんなこと言われて…。


「……無理して忘れる必要ないよ。忘れられないっていうことは、心が聖輝くんを求めてるってことなんじゃないの?」

 
一言一言、丁寧に言葉を選んでくれてるのがわかった。


そしてその一言一言がボロボロの私の心に染み込んでゆく。


「私、いつも思うんだ。〝ツラいことの先には必ず楽しいこと嬉しいことが待ってる〟って」


優菜…。


「美夜にとって、今の聖輝くんと向き合うことがどんなにツラいことか、私には分からない。だけど、美夜の想い、いつか聖輝くんに伝わるよ」


……伝わる…のかな…。


「世の中、不可能なんてないんだよ。不可能に思えることは、心が無理だって諦めていることだけ。ずっと信じていなよ。いつか伝わるって。忘れることがどうって考えるよりも前に…ね」


〝不可能なんてない〟