─グサッ


嫌な音と共に駆け抜ける痛み。


感じたことのない痛みが私を襲う。


太ももを切りつけられたんだと自覚するのに時間がかかった。


そして、自覚した頃には私の視界は曇っていた。


どんどんどんどん視界が狭くなっていき、それと共に痛みの感覚が消えていく。


私…死ぬのかな。


唯に殺されて…死ぬのかな。


コウちゃんの目の前で…。


コウちゃんが変わってくれるかどうかを見届けることもできずに…。


死んでしまうのかな…。


死ねないよ…。


こんな中途半端なまま…。


死ねない…。