「つらいのはコウちゃんだけじゃないよ!!自分だけがつらいって思ってるんじゃないの!?私だってつらかったよ!!今だってつらいよ!コウちゃんがこんな最低な人間になってるんだもん!」


苦く懐かしい思い出が私の涙腺を刺激する。


涙をこぼすわけにはいかない。


耐えるんだ。


「私…嬉しかったんだよ…っ?コウちゃんが花火大会の日に告白してくれて…!好きだって言ってくれて!海で家族のこと話してくれて!!」


声が震える。


手も足も震える。


それでも話さなきゃ。


話さなきゃいけないことが私にはあるんだ。


「一緒にかき氷食べて、噴水の中の虹を見て…っ!いろんな思い出が私の記憶には残ってるんだよ!消したくても消えないだよ…っ!コウちゃんのことなんか忘れたいよ…!!忘れられるものなら忘れたいよ……っ!残ってるたくさんの思い出一つ一つが今の私を苦しめるんだよ…!」


記憶は消せないから。


だから…涙が止まらないんだよ。


だから…苦しいんだよ。