「コウちゃんにこれ以上罪を重ねてほしくない」


結局、コウちゃんに近づくのが怖くて入口近くで立ち止まるしかなかった。


コウちゃんとは三メートルほどの距離がある。


その距離は永遠に縮まらない気がした。


拳を握りしめていないと震えが隠せない。


けど、言いたいことをぶつけなきゃいけない。


「……何言ってんの?」


冷たいその瞳には今何が映ってるの…?


私は映ってる…?


それとも闇しか映っていない…?


「…たすけて…」


山下さんの口からかすかに洩れた声。


それが私の原動力となった。