♪♪…


相変わらず静かな喫茶店に晴流の着信音が響いた。


晴流から告白されてから一夜が明け、早くもいつも通りの関係性に戻っていた。 


私以外のお客さんがいないのをいいことに晴流がスマホを見る。


みるみるうちにその顔が曇っていった。


「…輝嵐がついに動き出した」


晴流がボソッと呟いた言葉を私は聞き逃さなかった。


「どういうこと?」


「清龍っていう族の姫…山下蘭(やましたらん)が輝嵐に拉致られたかもしれない」


青龍って…輝嵐と対立してる正統派の暴走族だった気がする。


その族の姫を拉致…。


「山下蘭のGPSが異常を感知したら俺のパソコンに通知が来るようになってる。それをスマホ自動転送されたのが今来た」


さすが晴流…。


「姫のGPSもハッキングしてたの?」