電話越しでも聖輝の恐ろしさがわかる声だった。


でも、聖輝はちゃんと私を心配してくれてる。


それがすごく嬉しかった。


「輝嵐の倉庫。そっちこそ彩夏連れて逃げんなよ?」


『馴れ馴れしく呼び捨てしてんじゃねぇよ。殺すぞ』


もし私に何かあったら本気で殺しかねない。


そんな恐ろしさを感じた。


「はいはい」


めんどくさくなったのか、怖くなったのか、景は勝手に電話を切った。


「朝香が来ても朝香に近寄らないこと。もし近づいたらどーなるか分かってるよな?」


再びナイフを私に向けてくる景。


「…わかった」


聖輝はかなり頭が切れるイメージで交渉が自分に有利に進めるように仕向けるのが巧そうだけど、景もなかなかの切れ者な気がする。