ニヤっと助手席の男が笑ったのが見えた。


契約…か。


「どうせ断っても無駄でしょ?」


お断りします、はいそうですか。の世界じゃないことくらい分かってる。


聖輝の本心を確かめられるなら、利用されてもいい。


そう思ったのも事実。


「まぁね?」


「…契約成立でいいよ」


この決断がこの先の人生を大きく狂わすことになるなんて、このときの私はちっとも考えてなかった。


もしこのとき、この人たちから逃げていたら。


私と聖輝は破滅せずにすんだかもしれないのに。


すべては私がいけなかったんだね。