9月に入り、秋の気配を感じ取れるようになった頃のこと。


「立花彩夏だな」


杏華さんに頼まれて仕方なく一人でスーパーに向かっていた時だった。


背後から突然声をかけられた。


背中に刃物が突きつけられてるのが分かった。


「…はい……」


聖輝が壊滅させた乱舞の誰かなのか、義兄の友達なのか。


いずれにしても怖い…。


なにされるか分からない。


「場所変えるから車に乗れ」


男の人の低い声。


無理やり腕を掴まれて真っ黒のワゴン車に乗せられる。


刃物が怖くて抵抗できなかった。


運転席に一人、助手席に一人。


私は後部座席の一番奥に押し込まれて、その隣に私を刃物で脅してる男が乗り込んだ。