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ヒューっドンッ…パラパラパラ…
花火が打ち上がる音がはっきり聞こえ始めた。
もう日はすっかり落ちてる。
コウちゃんと花火見たかったなぁ。
自分の部屋の窓から一人で眺める花火は、色とりどりできれいだけど、どこか物足りない。
ドタッドタッドタっ!
ものすごい勢いで階段を駆け上ってくる音が聞こえたかと思えば、スパーンッと部屋の襖が開いた。
そこに現れたのは、待ち望んでいたコウちゃんだった。
「美夜、花火行くぞ。浴衣、買ってきたから」
無愛想につき出された紙袋を受け取る。
「え…?今日出掛けてたのってこの浴衣のため…?」
紙袋の中には、オレンジの生地に白や黄色の蝶々が散りばめられている浴衣だった。
「平川優菜(ひらかわゆうな)…についてきてもらった。仲良いんだろ?」



