この人は知らないだけ。


この世界の汚さ、私の汚さを。


「いちいちうっせーんだよ。死ぬ気ねーんだろ」


チッと舌打ちさら、睨まれた。


…なんで睨まれなきゃいけないの。


私は何も間違ってない。   


「飛び降りたいなら今から10秒以内に飛び降りろ。できないならこっちへ戻ってこい」


身勝手にカウントダウンが始まる。


もう一度下を見ると、はっきり明確に〝怖い〟と思った。


彼のせいで…私の心で燃え上がっていた自殺衝動の炎が消えてしまった。


今のままじゃ死ねない……。


死ぬのが怖い…。


だけど…死にたい。


「死にたいよ……っ」 


生きてたくない…っ。