村は静かだった。


コウちゃんがいなくなってるのに、何も変わりやしない。


セミはミンミン鳴き、風はそよそよと吹き抜け、太陽はキラキラ光り、川はさらさらと絶え間なく流れてゆく。


森の中はやっぱり涼しくて、裸足になって川に浸かる。


そしてそのまま下ってく。


川底の砂利がときどき足裏に刺さって痛かった。


岩場が見えてきた。


青々した海に雲ひとつない青空。


コウちゃんがいないのに、なんで…こんなに良い天気なんだろうね。


自然が教えてくれてるのかな…?


コウちゃんはもうじき戻ってくるよって。


だから何も変わらずコウちゃんを待ってるのかな。


満ち潮のせいであの日のように海に浮かぶことはできない。


岩に腰をおろして海に足をつける。