そして花火はお開きに。
もう時刻は9時を過ぎていた。
「片付けは私がやっとくからコウちゃんは帰る?」
片付けって言っても、ロウソクと燃え尽きた花火を入れたバケツくらいしかないけど。
「そういや今日アイツら夜出かけるっつってたわ。早く帰らねーとマナが1人になる」
やっぱりコウちゃんは優しい。
「コウちゃんは、マナちゃんのこと嫌いじゃないの?」
ずっと聞きたかった。
「マナは俺のこと好きじゃなさそうだけどさ…俺にとってマナは血は繋がってないけど、唯一の妹なんだよ。アイツらの実の子どもだからって、恨んだりするのは違う」
やっぱり…優しすぎだよ。
「アイツらに何言われようと何されようと俺は、マナの兄だからさ」
優しすぎるから、コウちゃんはきっと傷つくんだ。
もしマナちゃんを恨んでいたなら、きっとコウちゃんのキズはもう少し浅かった。
恨めないから…自分が傷ついてるんだね。



