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待ちに待った夜がやってきた。
真っ黒の空には満天の星空が終わりなく広がっている。
裏庭に出て、典子さんがロウソクに火をつけてくれた。
そして花火を開封!
いろんな種類の手持ち花火が入ってる。
「これからやろっ!」
適当に小袋を開けて花火を取り出す。
私がロウソクから花火に火をつけてから、やっとコウちゃんは花火に手を伸ばした。
「……花火するの初めて」
ボソッとコウちゃんが呟いた言葉はちゃんと私の耳に届いた。
「そう思うと俺、妹が生まれる前から愛されてなかったのかもな」
「コウちゃん……」
パチパチパチパチ…と花火が弾ける音だけが静かな夜に響く。



