中学生初めての夏休みが始まった。


1年前と変わらず村の夏は暑い。 


「海はやっぱり気持ちいいね」


岩場に座って足だけ海につけ、隣のコウちゃんに話しかける。


もうそろそろ泳げる時間帯になる。


私は入れないけど。


水着だって持ってないし。


「そうだな」


優しい波の音色とともに時間だけが過ぎていく。


太陽の位置が次第に西へと傾いていくのを眺めるだけ。


そんなこの時間が私は大好きだ。


「去年さ、ここでした約束覚えてる?」


〝私が居場所になるよ。コウちゃんの居場所に!〟


〝コウちゃん…ずっと私がコウちゃんの居場所だよ…。約束する〟  


小6ながらに一生懸命だった。


コウちゃんを守りたかった。


その気持ちは今も変わらず私の心にある。