「見てこれ。私が住んでた村の絵」


この絵を見てると鮮明によみがえってくる想い出の数々。


きゅーっと胸が痛んだ想い出も、ドキドキして心臓が破裂しそうになった想い出も。


初めて見たコウちゃんの涙も…。


初めて手を繋いだ時も…。


あの時上がった花火も…。


コウちゃんとした最後の花火も…。


コウちゃんとの最後の会話も……。


お願い事も…。


「…っ」


ツンと鼻の奥が痛くなってきた。


「…帰ろ、美夜」


それに気づいたのか、晴流が私の手荷物を持ってくれ歩き始めた。


私…コウちゃんが好きだよ……。


どんなにコウちゃんが私のことが嫌いでも…私は好きだよ…。


忘れられないよ…っ。


立ち尽くしたまま動かなかった私を、晴流が切ない色の瞳で私を見つめていたことにこの時の私はまだちっとも気づいていなかった…。