「くだらね」


吐き捨てるように言い、コウちゃんはスマホを景の方へ投げた。


「うぉっ。投げんなよ人のスマホ」


景を無視し、コウちゃんは来たばかりなのに部屋を出ていってしまった。


「コウちゃん……っ」


何も考えずコウちゃんの後を追っていた。


階段を駆け下りてコウちゃんの腕を掴む。


「待ってコウちゃん…っ」


まだ何も言われてないのに、もう目に涙がたまってしまう。


最近泣いてばかり……。


「お前と話すことなんかねぇよ」


バッと強引に振り払われた手が宙をさ迷う。


「コウちゃん……っ!」


諦めたくない。


コウちゃんの中には…きっと昔の優しいコウちゃんがまだいるよ…。


そう信じたい。