涙が零れる前に、コウちゃんの前から姿を消したい。


走って、走って、息ができなくなるくらい走って、たどり着いたのはやっぱり晴流の喫茶店だった。


運が良いことに、今日はお客さんがいない。


「晴流、あのね…っ」


カウンター席に座るなり話始めた私に驚いたような表情をした晴流のだけど、何も言わずに聞いてくれた。


「…さっき、コウちゃんに会った…。思わず名前呼んじゃって……。無視されると思ったら、会話…できちゃった…」


冷たかったし、目も合わせてくれなかったけど…。


「…やっぱりコウちゃん、冷たかった…。怖かった…。コウちゃんを好きでいるのがつらい…。だけど、コウちゃんを忘れられない…。忘れるつもりだったのに…」