とある一級河川に掛かる桟橋の下。


モーゼのような髭を伸ばした老人が、ぷかりぷかりと浮かぶ何かを見つけた。

一瞥し、ソレが何なのかを理解すると溜息を一つ付いた。

そして、何事も無かったかのように桟橋の脇にある階段をゆっくりと登り始めた。
土左衛門の供養よりも、今日の食事を確保する方が何よりの優先事項なのだから。



禿頭の水死体は、ゆらりゆらりと下流へと流れて行った。