本庁への出勤は、本来マイペースな性格の彼女でも非常に緊張する出来事でもあった。

そもそも、高層ビルが立ち並ぶ都会に遊びに行くのは好きなのだが、仕事となるとなぜか気が滅入るのである。
特に満員電車とか。

そのシーンをTVドラマやCMを見るたびに、「私絶対こんなところで働かないからね!」と度々言ってた気がするが……現実は、残酷というか何というか。
トホホ。


私は痴漢の人が寄ってきそうにない容姿じゃないから大丈夫、と認めたら負けな気がする自認と携えて電車に乗ったのは良いのだが……。
まさか、触られるとは思わなかった。

一瞬、ビクゥッ?!と人並みに反応した晴香であったが、其れが痴漢の仕業と気付く。