晴香は、初めての一人暮らしをそれなりに満喫していた。

6畳一間。ユニットバス・ロフト付き。

アパートから右方向に5分歩けばコンビニと駅。
左方向に10分歩けば、24h営業のスーパー。

駅から出る無人電車は、乗り換え1回含む約30分で彼女の職場に付く。


問題は……そのアパートは非常に日当たりが悪く、おまけに部屋の壁が非常に薄い。
場所によっては隙間やら穴が空いている。

つまり……ぼろアパートを絵にかいたようなシロモノだった。


それでも、彼女はさして気にはしていない。

隙間のある箇所は棚やポスターでどうにか塞いだし、なにより部屋に滞在中は常にノイズイレイザーと呼ばれる装置を付けていたからである。