私が高校生になって2回目の行事。
体育祭が終わり、秋といえば…
「待ちに待った文化祭だよ!」
…そう、文化祭。
「如月さん。これ、向こう持ってって。」
…出たよこいつ。
井上世莉香【イノウエセリカ】。
同じクラスになったはいいけど、私の苦手なやつだ。
そしてこいつは蒼空のことが好きだ。
だから、蒼空と仲のいい私と海澪を毛嫌いしてる。
そのくせ話しかけてくるタチの悪い馬鹿女だ。
「向こうってどこ?」
むこうっていっても沢山あって分からないんだけど。
話しかけられたら話返すけど私からは一切話しかけない。
「体育館よ。そんなのも分からないの?」
「そうならそうと言って欲しいよね。」
ニコニコしながら私は嫌味を吐く。
こうでもしてないと私の怒りが爆発してしまうから。
「頼んだわよ。」
「…へいへい」
なんだあいつ。
めちゃくちゃ私のこと睨むじゃん。
どんだけ蒼空と仲のいい私を嫌うんだよ。
「蒼空くーん!」
…きしょーい。
身長は165くらいはあって縦にも横にもでかい女だ。
黒縁メガネかけてて、髪は真面目にひとつにまとめている。
いつも小説か何かを書いているけど、私、あの人の小説読みづらいと思う。
「李那ー」
「何?」
「手伝うよ。」
「ありがとう。」
「あいつが持ってけばいいじゃんね?」
「同感。蒼空と話したいだけじゃないの?」
海澪も井上世莉香を毛嫌いしてる。
私と同様に用事がある時しか話さない。
「蒼空の事どんだけ好きなんだよあいつ。」
「知らねーよ。」
私は海澪と蒼空に対してだけこの口調だ。
流石元ヤンって感じなんだけどね。
「蒼空くん、文化祭一緒に回らない?」
「わり、俺、海澪と李那と回るから。」
…蒼空グッジョブ!
ナイスな振り方だよ!
君そんなに最高だったんだね!
「…ぷぷっ…」
笑いが堪えきれず思わず声に出して海澪と笑ってしまった。
「…蒼空くん、どっちかのこと好きなの?」
「……友達だよ。」
「私は?」
「…なんとも思ってねぇ」
やばい、あの2人のやり取り吹き出しそう。
とりあえずさっさとこれ持ってこう。
てかこれなんで持ってきたんだろう。
これ持ってきたの世莉香だよね?
世莉香のことは私と海澪の中で腹とよんでいる。
だって顔も腹も足もどーん!って感じなんだもん。