大王は、再び私の手を取って、歩き出す。
庭をぐるりと回って、部屋に戻ると、私は意を決して言った。
「大王… 」
私が呼ぶと、大王は私をまた膝の上に乗せる。
「お願いがあります。」
「ん? 今日はお願いが多いな。
なんだ?」
大王は笑って尋ねる。
「ハヤに… 許婚に会わせてください。」
大王の顔から、笑いが消えた。
「ダメだ。」
「お願いです。」
「アヤの願いなら、なんでも聞いてやるが、
それだけはダメだ。」
「このままでは、私は先に進めません。
大王とこの先一緒に歩んで行くために、
ハヤに会わせてください。」
「ダメだ。」
「大王、お願いです。」
「もうこの話は終わりだ。
アヤ、寝るぞ。」
「大王。」
大王は、私を膝から下ろすと、呼びかける私を無視して、横になってしまった。



