すると、大王は優しく微笑んだ。

「ならば、習うがいい。
上手くなったら、いずれ俺のも仕立てて
くれるんだろ?」

「はい!」

私は仕立てが出来る事を喜んだ。

その後、私達は、和やかに食事を楽しんだ。

「アヤは、何歳から機織りをしてるんだ?」

「十(とお)の時に麻糸で練習を始めました。
絹を使わせてもらえるようになったのは、
13になってからです。」

私は幼い頃を思い出しながら答える。

「で、アヤは今、何歳になる?」

「16になりました。」

「家族は?
母と妹2人だけか?
父は?」

「父は1年程前に亡くなりました。
山に狩りに行って、熊に襲われて…
今は、2つ上の兄がうちを支えてくれて
います。」

私が答えると、

「悪い。
辛い事を思い出させたな…」

大王は、食べ終えた膳を避けて私の横に座り、そっと私の肩を抱き寄せた。