・:*:・:・:・:*:・

夕刻。

夕餉(ゆうげ)も2膳運ばれて来た。

程なく、大王が笑みを湛えて現れた。

「アヤ、会いたかったぞ。」

大王はまた私の前に座る。

私は返す言葉がなく、無言でいると、

「くくっ
他の妃ならば、『私も会いたかった』と
返すが、そなたは言わぬか。」

大王は楽しそうに笑う。

ハッと気づいた私は、慌てて返事を返す。

「私もお会いしたかったです。」

ところが…

「アヤから取り繕った言葉は聞きたくない。
お前は、俺の機嫌を取ろうとせず、お前の
本当に思った事だけを言えばいい。」

大王の温かな声に、私の心もなぜか温かくなる気がした。

「いえ、本当にお会いしたかったです。
実は、大王にお願いがありまして。」

私が言うと、

「ほう…」

と大王は珍しい物でも見るように目を見開いた。