大王(おおきみ)に求愛された機織り娘

「大体、流行り風邪のひとつやふたつで大王が
どうにかなるとは思えません。
今頃、元気になって出立の準備を
してらっしゃるかもしれない。
もう少し、待ってみてはいかがです?」

ハヤに言われて、少し落ち着きを取り戻す。

確かに今頃は、もう回復してるかもしれない。

だけど、言いようのない不安が、私を駆り立てる。

「だけど、今、この瞬間も、大王は苦しんでる
かもしれない。
だったら、私が側に行かなければ、大王は…」

とめどない涙が頬を流れ落ちる。

会いたい…

大王に…

触れたい…

声を…

聴きたい…

大王…