家に着いてからは、もう最悪だった。



必死にその場から逃げたくて走ったせいか、呼吸するのも苦しくなって、すぐにベットに潜り込んだ。




「......ううっ、うっ......」




走り疲れてるのに、止まらない涙。


さっきの場面を思い出したくなくて、必死に違うことを考えるようにする。



......そんなことしても、無駄なのにね。




なんで、朔先輩は彼女がいるのに、わたしに優しくしたんですか?


どうして、わたしの頭をポンポンしたんですか?


......そんなことされたら誰でも勘違いしちゃいますよ。


......なんで、期待させるようなことするんですか?



わたし、簡単に騙されちゃったじゃないですか......。


"特別"なんて言われたら、わたしのこと少しはわたしの気になってきてるのかなとか思っちゃうよ。



やっぱりわたしは、恋についてちゃんと分かってなかったみたい。



楽しいだけじゃない。



こんなにも、辛くて苦しいんだって。



"恋は盲目"ってよく言うよね。



わたし、朔先輩に夢中になりすぎて、先輩が彼女いるとか全然考えてなかった。


好きになって欲しくて、必死に気持ち伝えてた。