「バレてしまう可能性は高いです。藤島さんの字は特徴的なので。ちーちゃんには解らなくても、同室の子どもが気づくでしょう。お母さんと室担、それにサンタさんにも裏切られたら、頼れる人が全滅してしまう。ちーちゃんはしばらく立ち直れません」


そこまで深く考えていなかった穂香は、頭から冷水を浴びせられたようなショックを受けた。

もし、穂香が返事を書いたとバレたら、ようやく懐いてくれた千花との信頼関係があっという間に崩れる。

それだけは避けたい。


「では、どうすればいいんですか?」


少しの間、沈黙が続いた。

いっそのこと、Wordで作ろうか、なんて考えていた穂香の目の前で、陽平はきっぱりと言った。


「私が返事を書きます。藤島部屋の子ども達は、私の字をちゃんと見たことがありません」

「いいんですか!? ありがとうございます!」


あっさり引き受けてくれたので、穂香は安堵の笑顔を見せた。陽平もそれに応えるように笑顔で頷いた。