「いいぞ琉輝! 頑張れ!」
みんなからの喝采を浴びて、琉君は照れくさそうに言葉を続けた。
「俺でもできるってところを見せてやりたい。みんなもこれから先、色々あると思うけれど、お互い頑張りましょう。終わります」
大きな拍手が食堂いっぱいに響いた。
わたしは胸もいっぱいになって、大好きなザンギをひとつ、残してしまった。
いつもだと『残すくらいならちょうだい』というミーナちゃんの姿もなかった。
ミーナちゃんはあの後、心の治療が必要だと判断されて、ちしま学園とは違う、病院や療育施設と一緒になった児童養護施設へ送られた。
脱走したり、家に帰ったりする度に、ミーナちゃんの心がどんどん荒んでいく原因を探すと高橋先生は言っていたけれど、その原因は見つかったんだろうか。
二学期になっても、ミーナちゃんは戻ってこなかった。
琉君がいない今、ミーナちゃん一派からの意地悪が少ないことは嬉しいけれど、こんなに長いこと戻ってこないのには、何か理由があるのかも知れないと思っていた。



