「さくらハウスに行けるのは、問題行動を起こさなくて、親元に引き取られる見込みのないヤツに、家庭的な生活を送らせるっていう目的があるそうだ。だから俺があっちへ行くことになった」
「……わたしも行きたいな……」
思わずそう呟いたら、琉君が首を横に振った。
「ここより監視の緩いところに、俺達二人とも行かせる訳ないだろ。それと、千花は市内にじいちゃんとばあちゃんがいる。母さんもいるヤツは、条件から外れてしまうんだ」
「そう、だよね……」
「二学期から早速、さくらハウスで生活して、学校も転校することになった」
「そんなに早く、行っちゃうの?」
「ああ。早い方がいいっていう、園長先生の判断」
「園長先生、わたし達のこと、知ってるのかな?」
「うーん、勘づいてはいるかも知れないけれど、直接高橋先生や穂香先生が話をした訳ではなさそうだ。今回の話し合いの中で、千花の名前は一度も出てきていないから」
それを聞いて、とても安心した。
高橋先生と穂香先生は、色々考えてこういう手段を園長先生に提案したのかも知れない。



