幸せの種



   『残酷な課題』   
        一年A組 小森 千花


 夏休みの課題のひとつが、この『人権作文』で、わたしはとても悩みました。

 最後まで手をつけられなかったこの課題に、今、ようやく取り組もうとしています。

 今まで、できるだけ考えないようにしていた『人権とは何か』ということを、知れば知るほどつらくなるからです。


 わたしには父はいません。

 母もほとんど家にいることがなく、祖父母の家で暮らしていました。

 そこでの生活は、思い出すのがつらいです。

 時々、そのころの夢を見てしまい、こわくてパニックになります。

 夢で良かった、もうあのころには戻りたくないと思っています。


 児童相談所からちしま学園へ来た日のことを、わたしは今でもはっきり覚えています。

 車に乗せられて、家に帰れると思っていました。

 家に帰るのはこわいけれど、母には会いたくてしょうがなかったのです。

 だけど、着いたのは全然違う場所でした。