幸せの種


「それじゃあ、園長先生と引継ぎして、ミーナの様子もみておくから。あとは荷物の整理と残りの課題を頑張れ」


高橋先生がそう言うので、わたしと琉君はそのまま男子棟と女子棟へと分かれることになった。


「千花、荷物整理終わったら勉強するか?」

「うん。まだ人権作文の宿題が終わってないの」

「わかった。俺も高橋先生に教えてもらったとこ、復習するから」


目を合わせて、お互いにうなずく。

大丈夫、不自然ではなかったはず。

一緒に勉強することで、荒れ放題のミーナちゃんや、ミーナちゃんの機嫌を取ろうとする子達からの意地悪を避けることもできる。

それに何よりも、琉君と一緒にいられるのが嬉しかった。


わたし達が勉強している間、高橋先生と園長先生が話し合っていたのは、ただの引継ぎだけではなかった。

ミーナちゃんのことだけでもなかった。


穂香先生にバレてしまったわたし達の気もちが、まさかこんな形で遮られるなんて、全く知らないまま、勉強していた。