幸せの種


「だけど先生……」

「そう、私はちーちゃんの室担で、ちーちゃんが不純異性交遊しないように見張ることも仕事のひとつ。は~、嫌になっちゃう」


穂香先生は大げさにため息をついて、肩をすくめてみせた。


「だから私は、影でこっそりあなた達を応援する。表では『ひどい』って思われるようなこともするけれど、それはすべてあなた達の将来を考えてのことだからね」

「はい……」

「今、周りから眼をつけられて、学園に居づらくなったら、困るでしょう? だから、琉君が迎えに来てくれるまで我慢して。ちーちゃんならきっとできる」


穂香先生は、わたしの手をぎゅっと握った。

小さい頃から、穂香先生はわたしの味方だった。

穂香先生がわたしのことを考えて、そして出す結論を受け入れなくてはならない。


他人であるちしま学園の先生の方が、ずっとわたしのことをよく考えてくれていると悟ったのは、いつからだろう。

わたしの行く末を本気で心配してくれる穂香先生に出会えて、本当に感謝している。

たとえ、この先のわたし達がどんな処遇を受けようと、きっとそれは将来を見越してのことだと信じているから。