幸せの種


穂香先生はわたしの背中をそっと押して、二階に誘導する。

声をひとつも出さずにいるのは、おちびちゃん達が起きてしまうからだろうか。

それとも、琉君に知られないように、という考えからだろうか。


階段を上り、わたしの部屋としてあてがわれたまほちゃんの部屋へ通される。

ドアを閉め、わたしにベッドへ座るように促し、穂香先生も隣に座る。


ベッドが少しきしんだ音をたてて、それが以外と響くということに気づかされた。

ここは普通の家で、みんなが寝静まってからはとても静か。

わたし達の話す声も、もしかしたら全部聞かれてしまったのだろうか。


何も言えずにただ黙って座るわたしに、穂香先生が言葉をかけた。


「さっき、車の中で話していたとおりのことになったね」

「そう、かも知れません」

「実はね、なんとなくそんな気がしていたの。千花ちゃんはちっちゃい頃からずっと琉君と遊びたがっていたし、琉君も千花ちゃんに優しかったから。あなた達自身が気付くより前から、私と髙橋先生の間では『多分両思い』って感じてた」