「約束は三つだ。お互いを裏切らないこと、気もちを隠すこと、勉強を頑張って少しでも上を目指すこと」
「わかったよ。裏切らない。わたしはずっと琉君が好きだから」
「約束する。千花を必ず迎えに行く」
お互いに、決意をこめて返事をした。
「もう、十一時だ。そろそろ寝ないと、髙橋先生が戻ってくるかも知れないし、穂香先生が起きてくるかも知れない」
「そうかも知れない。わたし、二階に戻るね」
「千花、気付かれないように、態度を変えないようにしよう。俺がそっけなくしていたとしても、それは演技だと思っていいから」
「うん。おやすみなさい、いい夢見てね」
「おやすみ。良い夢を」
そう言って、琉君は客間へ行ってしまった。
名残惜しいと思いながら、わたしもリビングのドアを開け、二階へ向かおうとしたところでやっと気が付いた。
穂香先生が、リビングのドアの前に立っていた。
どこからかわからないけれど、わたし達の会話を聞かれていたということに。



