幸せの種


空気になろうとしているわたしにも、何人かの男子からそういう話はあった。

正直なところ、それは迷惑でしかなかったし、そのせいでミーナちゃん一派から嫌味を言われたことも一度や二度ではない。

男子に媚びているとか、泣いて気をひこうとしている、なんて言われて、顔にカッターを向けられたことがあった。

その時に思った。

学園の先生がわたし達に言う、学園を出てから恋愛しなさい、というのは間違っていないと。

こんな狭い人間関係で、恋愛感情がもつれたら、もう生活すること自体がしんどくなる。


だから、わたしはたとえ琉君が好きでも、絶対にそれを出さないで生活しようと。

琉君がわたしを助けてくれるのは、同情からであって、別に特別な感情があるせいではないと。

そう自分に言い聞かせてきた。


なのに、この一瞬でその決心が崩れてしまった。


「ここから出たら、あとは自由だ。それまで胸を張ってここを出ていけるようにしよう。そのために俺達ができることは、勉強しかないんだ」

「うん。苦手だけど頑張る」

「勉強している間だけは、一緒にいてもマークされない。だから千花も頑張れ」