幸せの種


わたし達はこれからのことを話し合った。

このことは、絶対に誰にも秘密で、穂香先生や髙橋先生にも言わないでおこうと。


学園の中で、誰が誰を好き、なんていう話はよくある。

下は三歳から、上は専門学校生まで、男女合わせて七十名くらい暮らしているのだから、当然だった。

中には、先生が好きっていう子もいる。


小学校低学年までのそういう話は、みんな冷やかしながらもあたたかく見守ってくれている。

だけど、高学年になるとそれがとたんに変わってしまう。

注意され、とても警戒されてしまう。

恋愛感情のもつれが原因で、本人達だけではなく、周りまで巻き込んだトラブルが毎日のように起こるから。


学園には、こういったことがめんどくさいと思っているわたしのような子より、積極的に男子へ向かっていく子の方が圧倒的に多い。

園長先生が以前言っていた。


「みんなさびしいから、誰かにすがりたくなってしまうんだよ」って。


ここにいる子達は、親の愛情が自分たちに向けられていないことをわかっている。

うすうすそう感じている子、それを認めたくない子、自分から親元にはもう帰りたくないと思っている子。


さみしい気もちを共有できる相手と、いつも一緒に生活しているのだから、恋愛感情が生まれやすい、とも。