幸せの種


「そのまま聞いて。千花は他の学園の子とは違う。何か、俺が守ってやらないと心配でしょうがないんだ」

「ご、ごめんなさい」

「謝らなくてもいいから。そういうところが、いいところでもあるんだけどさ」

「空気になりきれないだけ、だと思うよ?」

「ホント、自信のないヤツだな。でも、そういう千花だから、守りたくなるんだ。自分より他人を優先してしまうところとかさ」


恥ずかしい。わたしの耳許にはまだ、琉君の鼓動が響いている。

いつまでこの状態でいるのだろう。

だけど、ドキドキしているのがわたしだけじゃない、ということがわかって、嬉しくなった。


「それで、千花は俺のこと、どう思ってる?」


さっき、車の中で穂香先生と交わした会話を思い出した。

まさか、今ここで琉君とこんな話をするなんて思ってもみなかったけれど、まさか穂香先生はわたしと琉君のことを……?


「わからない。だって、今まで同じ学園のお兄さんだと思ってた。ううん、お兄さんだと思いこもうとしていたの。だって、わたし達は……」


そこまで話したところで、わたしの頭を抱えていた琉君の腕の力が、ふっと抜けた。

驚いて顔を上げると、琉君の目がわたしをはっきりと映していた。