幸せの種


「え? どうして?」


登下校中も、別に誰かに邪魔されて話ができない訳ではない。

学園の中でも、普通に話をする分には誰からも邪魔されない。

まあ、確かに誰かが常に騒いでいて、うるさいなと思うことは多いけれど。


「大事な話をするときに、ギャラリーなんて必要ないだろ」

「う、うん」

「いつも誰かに見張られてるから、話せなかった」

「何を?」


そう問いかけ、横目で琉君を見た。

するとやっと、琉君が私の方をしっかりと見て、大きく息を吸った。

それから。


「千花が好きだ。小学生の頃から」

「嘘……」


……聞き間違いじゃない、よね?

心臓が、マラソンの後よりもっとスピードを上げて動き始めた。

身体全体が心臓になったように、ドキドキする。


「こんな雰囲気で嘘なんか言うか!? 真面目に言ってるんだけど、信じられないか?」

「うん……だって、わたしだよ? どうしてかなって」

「ああもう!」


ソファから立ち上がった琉君が、私の頭を自分の胸に押し付けた。

わたしの心臓より、すごいスピードで動いているのがわかった。