幸せの種


「よし、琉輝は医者を目指すんだな。そうと決まれば勉強あるのみ。ちなみに医大はものすごーく金がかかるぞ」


それは当然そうだろう。

お医者さんの息子じゃないと、医大には進学できないくらい、お金がかかると聞いたことがある。


「そんなこと言ってるけど、俺達みたいな子でも医大に行く方法があるんでしょ?」

「知っているなら話は早い。防衛医大と自治医大なら、学費の心配がない上、給料が出る」

「その二つのうち、どっちが小児科の医者になりやすいんだろう」

「そりゃあ、自治医大だ。ここは各地方自治体の僻地(へきち)にも医者が必要だから、地元志向の医者を育てようっていう大学だ。防衛医大は基本、大人を相手にするための医大になるからな」

「よし、俺は自治医大に入って医者になるために勉強する」


その言葉を聞いて、高橋先生がとびっきりの笑顔になった。


「琉輝ならできる。絶対に。この環境に負けるな。きっといい医者になるよ」


わたしも同感だった。うんうん、とうなずいたところで、カウンターテーブルの上にある電話の子機が鳴った。


「はい、高橋です。……ミーナが? わかりました。すぐ探しに行きます」


学園から、またミーナちゃんが抜け出した。

捜索のお願いの電話だった。